この記事では、2021年筑波大学附属中学入学試験について、2月3日の試験(算数)の、プロ講師による所感・問題別難易度分析・合否を分けた問題の解説動画を掲載中です。
本試験を受験されたご家庭や筑波大学附属中学志望者にとって、2021年の学校動向把握や問題の解き直しに役立てていただけるものとなっております。
中学受験コベツバでは、桜蔭・麻布・女子学院・雙葉・武蔵の速報を含む、日本全国の35校の入試解説・所感と難易度分析、来年度に向けた対策を公開いたします。入試速報・志望校別対策コーナーから他の学校も是非ご確認ください。
1:2022年入試の基本データ
筑波大学附属中学80%偏差値(サピックス/四谷大塚/日能研)
サピックス | 四谷大塚 | 日能研 | |
2022 | – | – | – |
2021 | 男 61 女 62 | 男 66 女 69 | 男 68 女 68 |
2020 | 男 61 女 61 | 男 66 女 69 | 男 68 女 69 |
筑波大学附属中学の受験者・合格者数・受験倍率推移
男子
受験者 | 合格者 | 倍率 | |
2022 | – | – | – |
2021 | 248 | 52 | 4.8 |
2020 | 172 | 52 | 3.3 |
2019 | 202 | 40 | 5.1 |
2018 | 160 | 40 | 4.0 |
2017 | 163 | 40 | 4.1 |
2016 | 138 | 40 | 3.5 |
女子
受験者 | 合格者 | 倍率 | |
2022 | – | – | – |
2021 | 227 | 52 | 4.37 |
2020 | 209 | 52 | 4.0 |
2019 | 190 | 40 | 4.8 |
2018 | 173 | 40 | 4.3 |
2017 | 160 | 40 | 4.0 |
2016 | 140 | 40 | 3.5 |
大学附属校人気のため、2016年から2019年まで倍率が急進していましたが、2020年から定員が男女合計65名から80名に増加し、それに伴い合格者が増えたことで2020年は4倍程度に落ち着きましたが、2021年からは科目数が4科目となり、受験しやすくなったためもあってか、さらに倍率がひきあがっています。
筑波大学附属中学の合格最低点・合格者平均点・受験者平均点
【4科目】
合格最低得点率(男) | 合格最低得点率(女) | |
平均 | 71.3% | 73.3% |
2022 | – | – |
2021 | – | – |
2020 | 72% | 74% |
2019 | 72% | 74% |
2018 | 68% | 71% |
2017 | 73% | 74% |
合格最低得点率が7割超と比較的高くなっていることが特徴です。残念ながら、筑波大学附属は、合格者平均点、受験者平均点を公表しておりません。
また、2021年からは報告書点36点を併せた186点満点基での合格最低点のみの公表となり、4科目(150点満点)での最低得点率は公表されておりません。
【4科目 + 報告書】
合格最低点(男) | 合格最低点(女) | |
平均 | 137 (74%) | 138 (74%) |
2022 | – | – |
2021 | 137 | 138 |
36点(国・社・算・理…各3点 音・図・家・体…各3点×2) + 150点(4科目)の、186点満点です。
筑波大学附属中学の科目別配点と試験時間
点数 | 制限時間 | |
国語 | 50点 | 40分 |
算数 | 50点 | 40分 |
理科・社会 | 各25点 | 40分 |
上記の配点に加え、6年生12月末の8教科(国・社・算・理・音・図・家・体)の学習の記録を総合して判定されます。
学習の記録は、国・社・算・理…各3点 音・図・家・体…各3点×2で計36点満点で計算されます。
2: 2021年筑波大学附属中学入学試験の算数
2-0: 解答数値
解答PDFにつきましては、2月4日20時00分に公開しております。
2-1: 所感
2021年度、筑波大学附属中の入試でした。
全体感としては例年より難易度が高い印象を持ったことと、最後の大問8が大学生の就職試験で使われるGMATのような問題が出題されたことが特徴でした。
とは言え、難易度については受験生全員が平等であり、結局レベルA完答してレベルBの勝負であること、内容的にも技術的な幅の広さが問われたことは例年通りと言えます。
最後の大問は他の最難関校・難関校と確かに毛色が異なる問題であるものの、問われ方がGMATと違って論述でもありそこまでの問題を短時間で対応して、一定の時間を残してさえいればそこまで難易度は高くなく対応できたのではないかと思います。その意味で結局は論点学習の幅の広さ、そして正確に答えを合わせにいく力で合否は決したのだろうと推測します。
以下、レベルB以上の問題に対してコメントしておきます。
◾️️1番(8):検証、公倍数±
本来、この問題は「完全にかぶる」以外の部分を検証する必要がある問題ですが、普通に公倍数±で一番幅が小さいところを引いて答えて正解した人も多かっただろうと思います。本来は、どこかで「少しだけかぶる」場合がないかを検証する必要があり、一歩が大きな下から検証していくのが短時間で処理できる道でした。
◾️4番(1):タイル切り
渋幕、豊島岡で出題されていたタイル切りが筑附に出題されました。完全に知識問題になっておりますので、ここは技術武装の程度で決まったかと思います。
◾️️5番:順番に作図して戻していく
手順は一番最初の図形を書いてその中に書き込んでいく方針で進めます。伝統的には早稲田が得意とする問題ですが、各塾のテキストにもそれなりに掲載していた筋の問題です。落ち着いてできたかどうかが問われました。
◾️6番(1):上から見た図で推論
立体の思考力を求める筑附らしい問題。
2×2のブロックで全ての行・列の最大が2という捉え方の問題で、こちらもより高度な問題まで含めて経験する機会が一度はあったのではないかと思われる問題でした。1個だけ積まれている箇所の個数で場合分けすればクリアに求められただろうと思います。
◾️️7番(3):3パターンで試行検証
残っている試合の相手は3つ。従って3通りのパターンしかないため、ここはもう3パターンと試しにいく判断が早かっただろうと思います。そこさえクリアできればあとは検証にそれほど時間をかけることなく答えが決まります。
◾️8番(1)(2)(4):グラフだけから言えること以外を排除、率の表現に着目、飛び抜けて平均を引き上げる人がいることに注目
それぞれの問題が言いたいことが明確で、算数の世界で丁寧に学んできた人にとっては感じる機会があったのではないかということを問いかける問題でした。
とは言え、あまり解き慣れない問題でもあること、ここに時間を使い続ける余裕が多くの受験生にはないだろうことから、どこかの問題だけ出来ても十分だったと言えます。
2-2: 難易度分析

2-3: 算数解説動画
大問4番
大問6番
3: 筑波大学附属中学志望者向け 来年度に向けた対策
今年度、合格ラインは74%と過去数年とほぼ変わらない結果となりました。
算数の傾向はほぼ変わらずで、最後の大問に論述が入った思考力問題がありました。
変則的ではあるものの難易度的には決して難しくなく、入試の中でその大問に到達するまでに時間的に余裕がある状態かどうか、がそのまま出来に表れた気がします。つまり、結局は上位陣は最後の大問に使うだけの余裕を持った状態で入り、そのまま余った時間で丁寧に読み解いて取り組み、正解して得点が上乗せされたのではないかと推測します。
従って、来年度以降もこれまでと大きな対策は変わりません。
分野を問わず、基本技術・応用技術を完全に手の内に入れて、特に解法の判断が適切で早いこと、また答えを短時間で合わせにいく力が高いこと、が合格の鍵を握ります。出題範囲も幅広いため、捨てる選択はできません。
また、その上で追加で対策をするとすれば、立体図形、特に思考力が絡むタイプの問題です。
今年度も技術と合わさって出題されているものの傾向どおり出題されており、立体図形については特に意識して難問や立体の思考力要素の強い問題に対して取り組んでおくと良いでしょう。
ただし、立体と言っても、男子最難関校や女子では豊島岡や桜蔭に見られるような切断系の立体ではなく、あくまでも集団塾の5年生までで学習済の技術要素を用いた思考力問題を中心に行っていくことが重要です。
4: 筑波大学附属中学志望者向けの対策・動画配信サービス
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以上です。
来年度以降の志望の方にとって、少しでも今後の算数の学習のご参考になれば幸いです。
中学受験コベツバは、筑波大学附属中学を志望されている小学生とその保護者様をエンパワーし続けられる存在になるべく引き続き頑張って参ります。