中学受験を目指す5年生のご家庭では入試が1年半後に近づいてきたということで、本腰を入れて学習に取り組まれている方も多いと思います。
今回の記事では、5年生のお子様をもつ保護者様向けに、一般的に「難易度が上がり、成績の差が開きやすい時期」と言われる5年生後半の学習の特徴と、注意すべき点をお伝えさせて頂きます。
まず最初に、4年〜6年までのカリキュラムをデータで比較しながら5年生後半に訪れる「量・難易度・習熟度」の壁についてお伝え致します。
なかなか実態が見えづらい中学受験算数のカリキュラムですが、データを用いて分析することで実際にどのような変化があるのかを理解していただくことを目的としております。
5年生後半の特徴を掴んだ上で、「5年生後半で成績が下がる3つの原因とそれぞれの予防・対応策」「最難関・難関を目指すお子様へ向けてのメッセージ」をお話しして参ります。それではよろしくお願いいたします。
1: 「5年生後半から難しくなる」と聞いたのですが本当ですか?
〜5年生9月に、アルファ中位の保護者様から寄せられたご相談〜
最近は、一度出来るようになった問題でも少し日を空けるとできないことも多くなりました。やるべきことがなかなか終わらないので、今までは手をつけることができていたサポートのDや思考力問題に手を出す時間がありません。やはり内容は難しくなっているのでしょうか? 今後さらに難しくなると聞いたのですが、先が怖いです。
1-1: 新しく習うポイントの量は5年生前半の約2倍!
中学受験の算数は、一般的に5年生に入ってから、特に夏期講習以降『比と割合』が導入されてからは難易度が上がる、と言われています。
まず、変化の度合いを「新しく習う技術=ポイントの数」「難易度の変化」「習熟度の変化」の3つの角度から検証することを目的として、サピックスの4年生前半〜6年生前半までの2年半の学習カリキュラムを分析してみましょう。
4年生前半 (2~7月) | 4年生後半 (8~1月) | 5年生前半 (2~7月) | 5年生後半 (8~1月) | 6年生前半 (2~7月) | |
---|---|---|---|---|---|
新しく習うポイントの数 | 50 | 61 | 62 | 111 | 78 |
1No平均 | 2.08 | 1.69 | 2.82 | 3.17 | 3.00 |
まず特徴的なこととして
5年生8月以降に新しく習得するポイント数は111個と、5年生の前半の62個に比べて大幅に増加していることがわかります。
後期は2回の講習から授業数が多いですので、ある種当然ですね。
しかし、授業の回数で割り算し、1回の授業(No)あたりに習う新しいポイント数をみてみますと、幾分なだらかな増加ではありますが、やはり5年生の後半は、
サピックスの3年間の中でもっとも多くの新しい技術を1回の授業で習得する、一番濃度の高い期間である
ということがお分かりいただけることと思います。
次に難易度の壁を見てみましょう。
1-2: 難易度は「これまでも、これからも継続的に上がり続ける」
ここでは、一旦過去10年、関東の難関校・最難関校で入試問題として出題されたことのあるポイントを「入試通用レベルのポイント」、それ以外を「基礎的なポイント」と定義し話を進めます。
(ただし入試問題ではほぼ全員が解けるはずの問題として、基礎トレレベルの四則演算・基本の小問も出題されます。ここでは一旦それらも入試問題レベルに含んで考えることとします。)
以下のグラフは、4年生〜6年生前半にかけて「基礎的なポイント」「入試通用レベルのポイント」をどの程度習い終わったかを表しています。
グラフに表すと、5年生後半から6年生前半にかけて、基礎的なポイントの学習が緩やかになっており、その分入試通用レベルの学習が一気に増えていることがご理解頂けるかと思います。
次に、表形式で「新しく習うもののうち何%が入試通用レベルであるか」を示したものが以下になります。
4年生前半 (2~7月) | 4年生後半 (8~1月) | 5年生前半 (2~7月) | 5年生後半 (8~1月) | 6年生前半 (2~7月) | |
---|---|---|---|---|---|
入試通用レベルの割合 | 39.77% | 42.31% | 46.48% | 56.44% | 67.47% |
期間別で取ってみると、「習うものの中で入試通用レベルが占めている割合」は、
5年前半は46%、5年後半は56%、と10%増加している=より難易度の高いものを多く習っていることが伺えます。ただ、そもそも4年生からの大きなトレンドとして、徐々に難しいものが占める割合は増えておりますので、その流れの一環でしかないことが伺えます。
(なお、精緻なデータを取っておりませんので断言はできませんが、今年度の5年生のカリキュラム改定により、入試通用レベルのポイントが、より早い時期から登場していることが推測されます。)
つまり、5年生後半から難易度が高いものばかりになる訳ではないものの、難易度はこれまでもこれからも上がっていく、と捉えることができます。
ただし体感としては「ついに、習うもののうち半分以上が入試問題でも使えるレベル」ということで、多くのお子様にとっては、手強く感じる事が少なからずあるでしょう。それは他のライバル達も同じであり毎年多くの5年生が通る難易度の壁です。
今まで通りスラスラ理解できないのは、やっと入試問題で使えるレベルの基礎技術を習っているのですからある種当然と考え、落ち着いて1つ1つの問題に丁寧に向き合ってほしいと思います。
さて、ここまではサピックスのテキストで1回登場しているものは「習ったもの」と見なし分析を行って参りました。
1:テキストの隅々まで学習する余裕のある方は一部のお子様だけであろうこと
2:そのお子様でも1回出会っただけのポイントを長期で覚えられるケースは非常に稀であること
から、この先は「3回以上テキストで出題されたもの = 習熟度をあげる機会が十分にあったもの」という線引きを入れてカリキュラムの理解を進めていきたいと思います。
1-3: 2回目の「習熟度の谷」へ
このグラフはサピックス4年生〜6年生前半までの「習熟度」を表したものです。
ここでは、簡易的ではありますが、
習熟度 = テキストで登場したポイントのうち3回以上出会ったポイントの割合
と定義しグラフに表しています。(4年生の前半はそもそもの母数が少ないため有効なデータとは言えません)
大きなトレンドとしては2年半を通じて、右肩上がりであり、6年生前半までに繰り返し出題されることで徐々に習熟度が上がっていることが分かります。(何度も何度も登場するポイントは登場回数が20回を超えることもあります)
もう少し細かくみると、大きく2つの凹みがあることが分かります。
1つ目の凹みは、4年生夏期講習No9〜5年生No6
2つ目の凹みは、5年生No21〜5年生No33
であり、グラフが凹んでいるということは「習ったもののうち1〜2回しか登場していないものが増えている」ということを示しています。
逆に、6年生の前半はおおよそ右肩上がりのトレンドとなっており、「習熟度を上げていく期間」ということになります。
つまり、5年生後半の特徴としては
「新しい入試問題レベルのポイントを次々と習う時期」であるにも関わらず、
「だからこそ、1つのポイントあたりの練習量が減ってしまうが故に習熟度が落ちる時期」である
と捉えることができます。
5年生前半までとは異なる量と質の壁があるということは、裏を返せば、「差をつけやすい時期」「成績が入れ替わりやすい時期」であるということです。
この5年生後半〜6年生前半の時期に踏ん張ったからこそ、6年生夏にかけて徐々に伸びていき、志望校別特訓が始まる来年の今頃には1年前と見違えるほど仕上がってきているというお子様も例年本当に多くいらっしゃいます。
この時期からコベツバの記事をご覧になっている5年生の皆様には是非飛躍を遂げてほしいと思います。
ここまでは、5年生後半の量・難易度・習熟度の壁についてお伝えして参りました。
さて、ここから先は、量・難易度・習熟度の壁を突破する方法と「最難関・難関校を目指すにあたって今から気をつけておくべきこと」をお話していきたいと思います。
2: ここから成績が落ちないようにするには、そして伸ばしていくには、どうしたら良いのでしょうか?
量・難易度・習熟度の壁が高くなる5年生後半から成績が落ちる原因は大きく3つに分けることができます。
◯1:今まで時間を最大限使って完璧に定着させていたものの時間が足りなくなってしまったケース
◯2:今までは立式方法を丸暗記して乗り切っていたケース
◯3:復習の頻度・期間が不十分であり、気がついた時にはほとんど忘れてしまっているケース
2-1: 今まで時間を最大限使ってデイリーチェック8割程度は定着させていたものの時間が足りなくなってしまったケース
特に、3〜4周回して徹底的に学習してきた、というお子様によく当てはまるケースです。
今までの学習を熱心に取り組んできたこと、しっかり技術を手に入れようとしてきた心構えは本当に素晴らしいものです。
ただし、量と難易度が同時に上がる五年生後半からは「一生懸命頑張ること」と同じぐらい「効率的に技術を手に入れるための方法を身につける」ことも重要です。学習の切り替え地点であると考えていただいて良いでしょう。
このようなケースについて、以下の記事に具体的な学習方法を紹介しております。
重要なことは2点、
1:漫然と解くのではなく自分なりに言葉にしていくこと
2:量の制限を設けて今までより少ない回数で今までと同じ結果を出せるように自分なりに工夫していくこと
です。
※注:ただし、そもそも現時点で1,2周しかテキストを回していないけれども時間が足りなくなっている、という場合はそもそも1問にかかる時間が非常に長い、またはあまりにも学習時間が少ない、ということになり、上記のケースには当てはまりません。特に、前者の場合は、問題を解く手がかりが見つけられず時間を無駄にしてしまっていることが多くの場合の原因であり、学習の型を身につけることがまずは重要です。授業のノートやStandByをご利用の場合はポイント動画を事前にご覧になった上で問題に取り組み、1問あたりの悩む時間を5分までと制限をつけた上で、分からない場合は解説(動画)を見てから、またノートを閉じて解く、という方法に切り替えて行きましょう。
2-2: 今までは立式方法を丸暗記して乗り切っていたケース
問題1つ1つに対して、「◯◯と▼を足して⬛︎で割り算してから1を引く」と意味づけがないまま解き方を覚えてしまっているケースです。
・デイリーチェックは8割程度得点できていたのに、基礎力定着テストでは得点できない
・平常では何回かやってできていた問題でも、マンスリー直前に久々に見返すと忘れている
・マンスリーでレベルAと記載されているテキストの数値替えは8-9割得点できるもののレベルBの問題が全く解けない(参考:10月マンスリーの難易度表)
・組分けやサピックスオープン(A)になると途端に偏差値が下がってしまう
これらの現象は、「問題を解くための汎用的な論点(ポイント)を身につけることなく、今後別の出題のされ方で同じポイントを使う問題に出会った時に適切に取り出すことができない」
というお子様に多く発生する現象です。
ここでは一旦分かりやすいよう「丸暗記」と表現しておりますが、もちろんとはいっても程度差はあります。問題文を丸ごと覚えているケースから、もう少し理解はしているものの「どういった時に使えて、どういった時に使えないのかという違い」を理解していないだけのケースまで非常に様々です。
(コベツバでは「丸暗記」の反対にある学習法を「ポイントを中心とした抽象化学習」と呼んでおり、必要とされる「抽象化能力」について詳細に説明しております。本題から逸れる話ではありますがご興味がある方はご覧ください。)
本題に戻りますが、この「丸暗記学習」に当てはまるお子様でも、暗記力・再現力の違いから、成績に決定的に現れる時期は個人差があります。
偏差値40〜60の幅広い層のお子様の約半数程度は多かれ少なかれ課題を抱えており、算数の難易度がグッと上がる5年生後半〜6年生前半にかけて、多数の相談が寄せられる内容となります。
具体的にイメージを持っていただくため、実際に5年生後半〜6年生にかけて、StandBy利用開始の際に寄せられたご相談を少しご紹介いたします。
<5年生の秋頃>
「5年生の最初の方までは全く分からない問題というのはなかったので親の私も安心していたのですが、最近は分からない問題があるのか、机の前で固まっていることがあります。真面目なタイプなので解説を見て、宿題はとりあえず全部こなしてはいるのですが、それ以上のことは自分からはしようとしません。
テストの問題を見た時に「デイリーサポートのCの2番だ」とすぐに思い出せるほど記憶力が良いのですが、肝心の解き方は思い出せないようで、思い出したとしても「あっているはずなのに何故か間違っている」と申しております。親としては、どうしたものかと心配しています。」(5年生11月時点ベット上位の保護者様より)
<6年生のはじめに>
「この前の組分けでは想像以上に酷い点を取ってしまいました。
5年生は概ねアルファで、算数は少し成績が落ちたことがあったのですが、それでも他科目のおかげもありアルファだったので、今思うとそのままの勉強方法で淡々と過ごしてしまいました。
算数の勉強はデイリーサポートの練習編を全問、普段からの復習及びテスト前も何度も何度も解き、本人にとっては作業化、マンネリ化して長期の記憶に残らなかったのだろうと思います。ここからできることを1つ1つやっていきたいと思います。」
<6年生の途中に>
「算数が大好きな息子で、5年生までは算数でわからない問題を父に教えてもらい、偏差値55前後ではあるもの、まだついていっていたつもりでした。
デイリーチェックは毎回8割を切ったことはありませんでした。今でも、算数には家庭学習も大半の時間をかけ、問題を解いているつもりでしたが、4月頃からマンスリーの算数が偏差値40となり、デイリーチェックも全く取れなくなりました。それでも、もしかしたら、まだ何とかなるかもしれないという思いで、登録させていただきました。」(6年生6月時点 ベット中下位)
このタイプのお子様に必要なことは
「ポイント中心の学習法」への切り替えです。
演習量ももちろん大事ですが、何よりも質と理解が伴った学習スタイルへの切り替えが望まれます。
具体的な方法はここで記載いたしますと非常に長くなってしまいますので、以下の記事をご参照ください。
▼ポイントを中心とした学習を進めるための能力(抽象化能力) を鍛える方法
▼具体的なご相談事例
重要なことは
1:どれだけ拙くても良いので、「この問題で使うポイントは要はこれ、この問題とこの問題は同じ。これは似ているけどココが違う」ということを自分で書いたり、話したり、判断していくこと
2:理解の確認は極力「数値替え=立式方法が全く同じ、ではない類題」で行うこと
の2点となります。
実際に、各ご家庭で実践された方よりいただいたお声を紹介いたします。
解法の引き出しを増やし、また解法の整理をするのが目的でノートを作成し始めました。ルーズリーフ表面に先生の解説、裏に先生が(ポイント動画で)強調して言っていたことをまとめて、それぞれの理解度の◎◯△×を記入しています。特に苦手な問題は選り分けて、スラスラできるまで繰り返しています。なかなか大変ですが、やっと1つ1つ丁寧に進んでいくことができています。
娘は国語が苦手で、文章でまとめることは嫌がったので、とにかく間違った問題は「◎◎を使えばよかった」というように言葉で問題の外に文字を書くようにしました。親の私からすれば、こんなものでいいのかな、と思うこともありますし、 まだ言われた時にしかできないこともあるのですが、やはり書いた問題は記憶に残るのか、次からは間違えにくくなりました。
お子様1人ではどうしてもポイントをうまく理解する・言語化することができないといった場合は、StandByのポイント動画も合わせてご活用くださいませ。
またこのケースに当てはまる場合、追加で頂く以下の質問にもお答えしておきたかったのですが、今回は字数の都合上割愛させていただきましたが、また回答を別記事で掲載予定でございます。
「今までのテキストでも理解できていない部分があると思うのですが、それらは復習しなくて良いのでしょうか?」
「色々とやらなければならないことが山積みで何から手をつけていいのか優先順位を教えてください」
2-3: 復習の頻度・期間が不十分であり、気がついた時にはほとんど忘れてしまっているケース
このケースは新6年生に進級の際に行われる、1月組分け・3月組分けの実力テストで「あまりに身についていなかったこと」が明らかになり慌ててご相談を頂くことが多い内容になります。
冒頭でもお伝え致しましたように、5年生後半は新しく習う量が多く、かつ練習頻度が決して多いわけではありません。
また6年生前半は習熟度をあげる期間とはいえ、同時に5年生後半で習ったものとほぼ同じ数の「入試レベルのポイント」を習っていくことになりますので、極力積み残しなく6年生を迎えられるに越したことはありません。
つまり、5年生後半で新しく習ったものは是非ともご家庭主導での復習スパイラルを回していくことが重要です。
復習機会は主に2回あります。
1つ目は習得後2〜3週間で行う復習であり、サピックス生であればマンスリー対策の一環として行うことで習慣化することができます。すでに実行されている方も本当に多数いらっしゃるかもしれませんが、具体的な方法を以下の記事でお伝えしておりますのでご参照ください。
重要なことは「間違った問題」「デイリーチェック」だけではなく「全問を解き直すこと(どうしても時間がない場合でも絶対に自信を持てる問題以外を解き直すこと)」です。
少し骨が折れてしまうかもしれませんが、一度正解した問題でも時間が経てば忘れてしまっているものもあるものです。必ず、デイリーサポートのA〜Cまで(余力のある方、最難関を目指す方はDまで)は全問解き直しを行いましょう。
復習機会の2回目は秋の祝日や長期休暇を利用した苦手分野のテキストのやり直しです。苦手分野は、これまでのマンスリーの結果から一定判別できることと思いますが、特に
1:デイリーチェックで8割をきっているもの
2:2週間後の基礎力定着テストで8割をきっているもの
は苦手な単元と判断してテキストをもう一度、全問復習していくことになります。
時間がない方は、特に「比と割合」が導入された高学年用の解き方で習っている、夏期講習以降のテキストから抜粋の上取り組むことが良いでしょう。
3: 最難関校を目指すに当たって、今から意識しておくべきことはありますか?
ここから先は、難関・最難関校への合格を勝ち取るにおいて、実はもっとも重要な期間である【5年生後半〜6年生前半】の取り組みについてお伝えさせていただきます。
3-1: 本当の勝負はここから始まる
冒頭の分析でもお伝えさせて頂いた通り、5年生の後半は多くの入試問題の基礎〜標準レベルの技術を習得していく時期になります。
その1つの証拠として、過去難関・最難関校で(四則演算系を除き)この10年一番多く出題されているポイント「キョリ一定」はこれは直近の「旅人算」で習った内容になります。(そのほか挙げればキリがございませんが、先日習った分母=LCM◯おきも入試再頻出ポイントです。)
これまでの学習よりも『重要かつ入試に直結する技術を一気に習っている』ということですので、今までは横一線であまり変わりのないように見えたライバル同士、じわじわと差がついていく時期になります。ということは、ここから一気にエンジンをあげていくことで、これまでの差を埋める、または差をつけることができる時期に入ったことになります。
入試はあくまでも相対評価の世界です。
もちろんどのような事柄でも、最後は己との戦いであることも真実です。ただし、6年生、あるいは6年生夏からはライバル全員が最大熱量を発揮することになり、差は付きづらいもの。その手前である「5年生後半」からギアをあげることが、入試で有利になることはいうまでもありません。
(非常に残念ですが、例年5年生中盤時点での合格確率が80%であっても、ここからの取り組み次第では1年後の今頃志望校のコース変更を余儀なくされる、ということももちろんあり得ます。このようなケース、6年生の夏から急遽ご相談を受けることも多くございました。逆転合格を目指して伴走するやりがいのある指導/ご相談である反面、やはりこれ以上追加の学習をする余裕がほとんどない、基礎からやり直す時間がない中でのギリギリの指導となり、対策できたポイントが出題されるか、されないかという確率論での合格になってしまいます。)
5年生後半からの努力は、入試の基礎得点力に直結してきます。
ぜひここからギアを上げて出会うポイントをもれなく吸収することを心がけて欲しいと思います。
3-2: じっくり思考力問題に向き合える時期は5年生まで
6年生に上がってからは「デイリーの学習だけでも回すことがギリギリの状態であるため、思考力問題や追加の難問に取り組む時間を確保できない」というお声を非常に多くいただきます。
サピックスのカリキュラムは明確に5年生の時期に思考力を鍛えることを意図して作成されています。(開成や桜蔭などの関東の伝統のある最難関校に向けたカリキュラムであることが明白です。)
テキストに掲載されている全問に取り組むことは難しくても、「思考力の養成」の1〜2問は取り組んでみて欲しいと思います。
難問系の中でも、未知の技術を多く必要としない、つまり事前の先取りを行なっておらずとも自分なりに取り組み理解できる内容となっておりますので、かいつまんで取り組んでも十分効果のあるものです。
(StandByでは各問題に重要/応用フラグをつけた上で、特定の学校の傾向に一致する場合は必ず紹介しておりますので利用者は参考の上取り組んでみてください)
難関校の中では、思考力が重視されると一般的に言われている「筑駒・開成・開成・桜蔭・栄光」志望者様はもちろんのこと、技術が多いとはいえ論理推理や一定の思考力が要求される問題が出題されることのある「聖光学院・渋幕・武蔵・駒東・女子学院」を志望されている方も是非週に1問からでも学習に取り入れてゆくことをお勧めいたします。
3-3: 6年生前半でも余裕をなくさないために、5年生で出会ったものは完璧に
「6年生前半は、5年生の復習を行う期間であるので全く新しいものは習わない」かというともちろんそんな事はありません。(6年生前半も5年生後半に次いで新しいものを多く習得していく期間となります。)
5年生後半は受験の基礎的な技術を、6年生前半は受験の応用的な技術を習う期間であり、ここまではどの学校を受験するにせよ必要な技術です。
つまり5年生のうちに習うものは出来るだけ習得した状態で6年生を迎える事ができれば、その分6年生で応用的な技術を習得できる、ということになります。
記事を最後までご覧になった方へ
最後に、余談になりますが、実はStandByは2019年の1月6日から開始したサピックステキストの解説動画サービスですが、2月3月に本当に多くの6年生メンバー様がご利用を開始されました。
その時から現在に到るまで、何十名以上の6年生のお子様を持つメンバー様よりいただいたお声が「5年生の頃にサービスが始まっていれば。。。。」「あの時に出会えていれば、こんなに成績が下がる事はなかったかもしれないのに。。」「今からでも間に合うのでしょうか・・」という切実なお声でした。お声を頂く度に湧き上がる、どうしてもっと早くサービスを始めていなかったのだろう、そうすれば、、と悔やんでも悔やみきれない思いがあるが故に、これから出会う子供達を力の限りサポートしてゆく所存でございます。
もちろん、コベツバも1つの情報サイトであり、StandByも1つの手段でしかありません。それでも、あとあと5年生後半の時に◯◯しておけばよかったのに、と後悔のない過ごし方をして欲しいと思います。
以上。
お子様の今後の学習において、少しでも参考になる内容があれば本当に幸いです。